2013年 11月 18日
小さな菊の花
友人から、お庭の小菊をたくさん頂いた。
嬉しくて床の間に飾っていたところ
ここ数日で花が開き始め、おかげさまで季節感あふれる和室になっている。

若いころは菊はあまり好きではなかったが、
年を取ったせいか、はたまた菊の生産が盛んな土地に住むようになったからか、
小菊は清楚でかわいいなあと思うようになった。
花びらの先がふっと紅色に染まっている花瓶の小菊を見るたび
「野菊」という歌を思い出す。
この歌を知ったのは実は数年前。日本の叙情歌のピアノ楽譜に掲載されていた。
気持ちがほっと和らぐような、やさしい旋律である。
寒さがつのり始める季節、冷たい風が吹き抜ける里山に凛と咲く
小さな野の花の姿に思いを馳せる。

うた 『野菊』 (YouTube にリンク)
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2012年 11月 04日
線路のかがやき
青春はみづきの下をかよふ風 あるいは遠い線路のかがやき
高野公彦
短歌をたしなむわけではまったくなく、
「私の青春は…」などと語る気も毛頭ないが、
ある本の中で紹介されていて、いい歌だなあと思ったので書き留めておく。
「遠い線路のかがやき」…この部分にとても惹かれる。
まだ見ぬ未来が光り輝くものであれという期待や祈りと
まだ見ぬ未来であるがゆえによぎる一抹の不安と…。
さらに、安心しきっていた遠い幼い頃をも
この3つの言葉が思い出させてくれるような気がする。

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2012年 03月 24日
早春賦

今年の3月はまさにこの歌詞のとおりではなかろうか。
徐々に春めいてきているものの
その足取りは例年よりだいぶ遅い感じがする。
フキノトウが出た、山茱萸が咲いた、と喜んではいるが
吹く風はまだ春の風とは言い難い冷たさだ。
季節の歩みが遅い今年に限らず
春の兆しを感じるようになると歌いたくなるのが、この「早春賦」である。
春だ春だと喜ぶばかりではない現実を歌う詞と
尾根と谷を上り下りする風の流れを描いたような旋律が、美しいと思う。
さて、2番の歌詞に出てくる「角ぐむ」という言葉。
私はこの歌詞のほかでは聞いたことがない。
調べると、主に葦や薄などが角を出すように芽吹く、という意味らしいが
一般に植物が芽吹くことにも使われるようだ。
植物は芽吹くものだが、「角」というからには、オニの頭にあるような
ツンと先が尖った状態の芽を言うのだろうと思い、
カチカチ山周辺でいくつか見つけて撮影した。



どの芽も寒い冬を越えて、光に向かって上を目指す姿が
小さいながらも力強い。これから見せてくれるであろう新しく美しい姿に
希望を託す人も少なくないだろうと思う。
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